◆母親が包丁を持ち出すほどの大喧嘩

――お母さんとお兄さんの複雑な関係も印象的でした。

五十嵐:兄は、過干渉で理不尽な母の子育ての一番の被害者でした。兄はいわゆる“いい子”のまま育ってしまい、21歳のときに心を病んでしまったんです。普段の兄は思慮深くて優しく、理由もなく怒る人ではないんですが、引きこもってからは母との口論が日に日にエスカレート。母が包丁を持ち出すこともあって、いつか血を見るんじゃないか……と、ヒヤヒヤしていました。

最終的に兄は病院に入院させられてしまったのですが、私が学校に行っている最中に警察を呼んで兄を措置入院させる計画を立てていたと聞き、そのときも裏切られた気持ちになりましたね。