◆明確に具体化される可愛さ
『顔に泥を塗る』に出演する木村慧人にどうしてこんなに心をもっていかれるのかと考えている。ほんとうに可愛い。ではそれが具体的にどんな可愛さなのか。
『顔に泥を塗る』は、木村の天性の素質を具現化するとも言える。まずは主人公・柚原美紅(高橋ひかる)の反応を確認しておこう。第1話、デパートの受付で派遣社員として働く美紅が、おじさん客にトイレの場所をたずねられ、「連れてってよ」と腕を掴まれる場面。
「セクハラ!」と助け舟を出したのが、高倉イヴ(木村慧人)。「かなり悪質なセクハラですけど」と力強くもしなやかに、おじさん客に詰め寄る。華麗な撃退に目を輝かせる美紅は、陶然として「すごい綺麗」と心の中で呟く。
美紅は、イヴのことを女性だと思っているが、「僕、男です」とイヴはあっさり告白する。この冒頭場面で女性の格好をしているイブ役についてドラマ公式サイトでは、「ジェンダーフリー男子」と書かれている。性別に固定されないイヴ役を通じて、木村の可愛さが明確に具体化されていく。