3億円が450億円に

そんなメルカリが、株式市場で話題を呼んでいる。同社は6月に東証のマザーズ市場でIPO(新規株式公開)を実施、ブックビルディングでは個人投資家が殺到し、抽選倍率が50倍に達した。

最社は不調が予測された海外投資家も、フィデリティ、ブラックロック等が高い関心を示すなど、良い意味で予測が外れた。こちらの倍率も20倍だ。

公開価格も、仮条件(2700円-3000円)の上限で決まった。メルカリの発行株式は、今回の公募株式0.18億株をくわえて1.35億株となり、時価総額は、4000億円を超える。LINE(時価総額6930億円)に次ぐ大型IPOに市場は沸き立つ。

筆頭株主かつファウンダーである山田進太郎の保有持株割合28.83%であり、株式評価額は1170億円に達する。ドル換算で10億を超え、ビリオネアに名を連ねた。今回のIPOで一部115万株を売却し34億円を手にしたようだが、引き続き筆頭株主の座を確保する。

巨額の資産を手にしたのは、山田氏だけではない。主要株主第2位のユナイテッド社は、ネット広告やベンチャー投資を主なドメインとする企業だ。同社は、メルカリの創業当初(2013年)に3億円を出資した。

「あの時に出資要請を受けたのは間違いではなかった」と同社の金子陽三社長は述懐する。あの時の3億円は、現在150倍の450億円に跳ね上がった。ユナイテッド社は、今回のIPOで450万株を放出する、手にするキャッシュは135億円だ。同社は現在、投資先として新たな成長企業を探している。

日本では、2000年前後にITブームでベンチャー投資やIPOが盛り上がったが、その後の株式市場低迷やライブドア事件で低迷した。それが、今回のメルカリIPOの成功を目にした起業家・ベンチャー投資家の間では、後に続けとの期待が盛り上がっている。

それでも課題は残る

懸念材料はいくつかある。まず一つは、過熱気味で不安定なIPO市場だ。

メルカリも、上場初日は売買代金が1900億円(3600万株)まで膨らみ、初値は5000円をつけた後6000円まで上昇した。ところが2日目には早くも値を下げ、終値は4910円の初値割れだ。その後も、同社株は4日連続で続落、25日終値は4270円まで落ち込んだ。

上場初日に高値掴みした個人投資家が、損切り承知で手じまい下格好だ。今回のメルカリ上場では、「初値天井」のジンクスを破れるかが注目されたが、現時点では果たせていない。

メルカリ自体の業績も、売上高が急速に伸びている一方で、まだまだ赤字が続く。それでも投資家が米国での成長に期待をかけているのだ。かりにもし米国事業がコケるような事態になれば、株式市場にも失望感が拡がるだろう。

文・ZUU online 編集部/ZUU online

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