◆感嘆しておきたくなる長台詞

 石橋静河主演の『燕は戻ってこない』(NHK総合、2024年)第3話にひろきがゲスト出演したことも記憶に新しい。大石理紀(石橋静河)から卵子を提供されることになった草桶悠子(内田有紀)が、春画を描く友人・寺尾りりこ(中村優子)と飲み会をする場面。

 周りに聞こえる大声でセクシャルなワードを連発するりりこに対して、後ろの席に座るサラリーマンの一団が聞き耳を立てる。結局合同で飲むことになった酒席で、ひろき扮するサラリーマンが、うんうんとうなづきながら、「伺って安心しました」と一言。

 ある程度まとまった台詞を吐くひろきを筆者は初めて見た。何せ『虎に翼』では、まだ印象的な言葉を発していなかったのだから。第83回でひろきがやっとまとまった長さの台詞を話す。

 担当する刑事事件について話し合う寅子と航一の間に割って入ったわりには、「考え過ぎと言うか、そもそもその子が関係してるかなんてどうでも良くないですか」と拍子抜けする意見。思わず「はて」を発した寅子。ちらっと見ただけで特にコメントをしない航一。ここで視聴者は、「かあ」と感嘆しておけばいいだろうか?

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu