◆「そんな小さなクモ、大丈夫よ」

クモ
 ナツさんはすぐ、さっきまでいっしょに昼食を食べていた義母に声をかけました。「どうかした?」と、義母はすぐ来てくれましたが、「なんだ、クモ?」と急激にトーンダウン。「そんな小さなクモ、大丈夫よ」と、まったく動じません。

「結婚前に義母の家へ遊びに行ったときにも、新築の家で住みはじめてからもクモを見たことはなく、その日が初遭遇。実家で暮らしていた頃は、私の母が退治してくれていたため、どうしていいかわかりませんでした。そんな私に、義母が追い打ちをかけたのです」

 それは、「この辺りは田舎だから、もっと大きいのが出るわよ。新築したばかりだったからか、虫なんて見かけなかったけど、古い家のときはよく見かけていたわ」という義母の言葉。そして、駆除する様子もないまま自分の部屋(スペース)へと戻っていきました。

「私は黒い小さなクモが寄ってきただけで精神がおかしくなりそうなのに、『もっと大きなクモが出るわよ』と言いながら笑ったのです。夫に話しても、『へぇ、それは怖かったね』『母さんは、励ましただけだと思うよ』と、まともに取り合ってくれません」