20代のころに自己投資に時間とお金をかけると、将来の収入増加につながる可能性があります。しかし、自己投資とは言っても、先行投資のつもりが浪費になってしまうケースもあります。せっかくお金と時間をかけても実践がともなわなければ投資したお金が無駄になりかねません。そこで自己投資が浪費で終わらないために心がけておくコツを解説します。

教育産業の市場規模は拡大している

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総務省統計局のデータによると日本の総人口は、2008年10月1日には約1億2,769万人でした。ところが、2020年9月1日の時点では約1億2,581万人となっており、12年間で約188万人も人口が減少しています。

内訳を見ると15歳未満が1,504万人、15~24歳が1,212万人、これに対し65歳以上が3,616万人、そのうち75歳以上が1,870万人と高齢世代が若年世代を大きく上回っています。このように人口減少が進むとともに超高齢社会となり、とりわけ若年世代の人口が少ない状況ですが、日本の教育市場は成長過程にあります。

人口減少の日本でも教育市場は成長している

矢野経済研究所の調査によると、2015年には2兆6,000億円台だった日本の教育産業全体の市場規模は、2018年には2兆7,000億円台に上昇しています。ただし、この数字は、幼児、学生、社会人を含めた教育産業全体の数字で、すべてが社会人の数字というわけではありません。

社会人にとっての自己投資の種類とは

それでは社会人にとって自己投資とは何になるでしょうか?趣味に費やすことも自己投資になるかもしれませんが、それならば何かしら仕事や自分のキャリアの育成に役立つことにお金と時間をかけたほうがいいでしょう。

自己投資の種類としては、資格・スキル(語学、創作技術、法律系の資格など)、経験(海外留学、副業、ボランティア参加など)、人脈拡大(交流会参加、勉強会参加など)など、多岐にわたります。

大切なことは、個人の自己投資は企業でいうところの先行投資にあたるという意識です。技術革新、人材育成、新商品の開発、販路拡大などの先行投資に余念がない企業は成長し続けられます。

個人においてもこれは同じです。1年後、5年後、10年後を見据えた自己投資を戦略的に行うことが収入増加につながります。

自己投資は回収をゴールにする

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社会人は目的を持って自己投資をしないと、思わぬ遠回りをしてしまう可能性があります。自己投資のつもりで時間とお金をかけたことが、実務の成果につながらなかったら、浪費になってしまう場合もあります。そのようなことにならないように、しっかりと選択をする力を身につけましょう。

浪費になってしまう自己投資とは

自己投資が結果につながらず、浪費になってしまうパターンの1つとして、「実践をしない」ということが挙げられます。これは、資格・スキル系の資格で生じやすいと言えます。

たとえば、英会話を習ったけれど外国人との会話を怖がってしまい、せっかくの語学スキルが生かせていないという人は少なくありません。また、法律系の資格を取得したのに、仕事で使うチャンスがないがゆえに、試験のときに覚えた知識を忘れてしまう人もいます。

さらに、教材や講座は申し込んだものの、いざ学習が始まったら内容に興味が持てず、資格取得にすら至らないというケースもあります。数百万円をかけてMBAを取得したにも関わらず、卒業を迎えて情熱が燃え尽きてしまう人もいます。

先ほど、自己投資は企業でいうところの先行投資と述べました。目的を見失ってしまい、仕入れた知識を使わなければ不良在庫になってしまうという危機感を持つことが大切です。

回収につながる自己投資とは

一方、回収につながる自己投資とは、具体的に仕事で生かせるものになります。たとえば、システムエンジニアの場合、プログラミング言語の習得がそのまま実務で生かせるでしょう。また、優れたスキルを持っていれば、高い報酬の企業に転職をすることもできるかもしれません。

また、昇進試験で英語の試験の点数を求められる企業もあります。語学学校の費用は安いものではありませんが、昇進による収入アップが、語学学校の費用よりも高いものであるならば十分にチャレンジする価値があるでしょう。このように、学習に費やしたお金をしっかりと回収する意識でいると学習も仕事も前向きに取り組めます。

転職や副業、起業のために、弁理士や中小企業診断士などの高度な資格にチャレンジし、全くの専門外の分野から、その道のプロになった人は少なくありません。

現在は資格を持っていれば仕事ができるという時代ではなく、仕事を得るためには専門性が必要になります。いま従事している仕事の経験と資格を融合させることで、専門性を研ぎ澄ませれば、ビジネスチャンスにつながることでしょう。