弘法大師空海が開いた聖地として名高い高野山。今では交通機関も整備されており、日帰りでも十分楽しむことがきますが、宿坊に宿泊すれば、もっともっと深い体験をすることができますよ。一等地に建つ宿坊「蓮華院」をご紹介します。
高野山についておさらい
世界遺産にも登録されている「高野山(こうやさん)」。おそらく日本人なら誰しもが知っていると思いますが、実際のところどんな場所なのか、簡単におさらいしていきますね。
高野山って一体何?何があるの?
まず、高野山という名前から想像するのは山登りだと思いますが、実はこの高野山という通称は聖地全体(複数の山にまたがった山上盆地)の総称を指します。盆地とはいえ標高は800mもあるため、冷涼な気候が特徴です。
高野山の開創は今から1200年前、弘法大師空海によって開かれました。高野山のエリアは東西に4kmあり、西の起点が「大門」、東の終点が「奥の院」で、片道50分ほどで歩いて回ることができます。
なお、この奥の院では現在も空海が生きて暮らしていると伝えられており(入定)、毎日お食事も運んでいるんだそうです。奥の院の奥にある御廟(ごびょう)は、誰でもお参りすることができるようになっているので、高野山へ行ったらまず初めに行きたいスポットです。
西の起点「大門」と東の起点「奥の院」の間には何があるのかと簡単に言うと、寺院とお墓です。2020年現在は117もの寺院があり、そのうち52寺院で宿坊を受け付けています。お墓はというと、奥の院へと続く道中におおよそ日本史上で思いつく限りの著名人のお墓が並んでいるので、歴史が好きな人にはたまらないスポットでもあります。
とんでもない僻地であることは確か
登山ルートはなく、平坦な場所であるとお伝えしましたが、高野山に辿り着くまでは大変な道のりです。自動車道が整備された現代でも「これは大変な場所だ」と思わずにはいられないような僻地であり、1200年もの昔に一体どのようにこんな場所を見つけ、栄えるに至ったのかを悩まずにはいられないような場所にあります。場所で言うと、大阪寄りの和歌山県内です。
宿坊に宿泊体験!蓮花院のおすすめポイント
いざ宿坊に泊まってみようと考えても、高野山には52か所もの宿坊があるので、一体どこにお世話になろうかと悩みますよね。
今回、筆者が実際に泊まった蓮花院をおすすめするポイントは以下の3点です。
おすすめポイント①高野山始まりの場所という立地
まず、宿坊を選ぶ上で大切なのが立地ですよね。一口に高野山と言っても、1200年という長い歴史があるので、各地のお寺(宿坊)が建ったタイミングはそれぞれですし、建立した人もさまざまなんです。
その中でも蓮花院は、空海が悪魔降伏のために結界を結んだときの草庵が元になっているそう。空海が修行を行っている最中に白蓮の中に瑞光が現れたことから「蓮花院」と名付けられたんだとか。
創建は817年、つまり聖地高野山のかなり初期のころに建てられた歴史ある寺院です。「空海が作った聖地」に宿泊する醍醐味を感じるには最高ですね。
実際に行ってみるとわかるのですが、なるほど蓮花院がある場所は高野山の中でも一等地と言える場所で、高野山の中心である金剛峯寺とは隣接、壇上伽藍(だんじょうがらん)も徒歩すぐという抜群の立地に建てられています。言うまでもなく、聖地感もたっぷりと感じられますよ。
また、高野山駅方面へのバス停(千手院西)が宿坊の玄関を出てすぐのところにあるため、アクセスも抜群です。
ところで各寺院にはお寺と支え合う檀家さんがいらしゃるわけですが、この一等地に建つ寺院の檀家さんはなんと、あの「徳川家」!室町時代からの付き合いだそうで、寺院の奥には歴代徳川家将軍の位牌が安置されています。これらの見学ができることは、宿泊者の特権でもあります。
おすすめポイント②気さくで優しい住職さん
お寺に宿泊すると考えると、厳しい住職さんとの関わり合いに緊張してしまうかもしれませんが、こちらの住職さんはとても気さくな方なので安心。館内で顔を合わせるとちょっとした雑談を挟んでくださったりと、心がホッと和む雰囲気の宿坊です。
ちなみに住職さんにはお子様がいらっしゃるそうで、幼児の宿泊も寛容に受け入れてくださいます。なので、子連れでの宿泊にもおすすめです。
おすすめポイント③新しくて綺麗な宿泊施設
宿坊と聞くと、「古い」「カビ臭い」「襖仕切りの部屋」などを思い浮かべるものですが、こちらの蓮花院は2015年に改装工事済みで、大変綺麗な施設です。
館内には生け花が飾ってあったりと、まるで高級旅館のように落ち着いて過ごすことができますよ。もちろん襖仕切りのお部屋ではないのでご安心を。
そして筆者が一番感銘を受けたことなのですが、宿泊したお部屋を含めて館内にはチリひとつ落ちていません。掃除が徹底されているんです。
徹底的に整えられた空間は、自分が宿坊に泊まっているということを実感させてくれます。どれほど立派なホテルであっても、ここまで「心を尽くして」掃除されている施設にはなかなか巡り合えないものです。
宿坊棟は2階建てで、2階が宿泊部屋、1階が浴室と食事処となっていますが、ありがたいことにエレベーターまで完備されていますから、本当に何の心配もいりません。
蓮華院のお部屋の様子は?
お部屋はすべて2階にあり、6畳部屋と8畳部屋に分かれています。(大部屋も一つあり)
こちらは8畳のお部屋の様子です。
床の間には生け花が飾ってあるとともに、床の間の由来についての説明書きが置かれていました。こういった日本の文化を学ぶことができるのは、宿坊ならではですよね。
お茶とお菓子の用意までされていて、長旅の疲れもホッと癒してもらうことができます。
お部屋には、清潔なトイレと洗面所が付いていて、ウォッシュレットまで完備されています。
こちらがお部屋からの景色。高野山の一等地の景色を眺めることができ、優越感という煩悩を感じずにはいられません…!