◆自分自身の何かを重ねずにはいられない主人公

時々、私は考える
『時々、私は考える』より(以下同)
 今回、わたしがご紹介させていただくのは映画『時々、私は考える』です。

 主人公のフランは人付き合いが苦手で不器用。同僚からの挨拶には少し口角を上げるだけだし、退職祝いのパーティではすぐに抜け出す始末。そんな彼女の職場にある日、新しい同僚のロバートがやってくることで、色のない彼女の日々に変化が訪れる……といった物語です。

 とても素敵な映画でした。群れることが苦手で、どこまでも不器用な彼女に自分自身の何かを重ねずにはいられませんでした。

 もっとテキトーに生きられたら。もっと軽口を叩けたら。自分自身を受け入れて、自信を持って笑えたら。何度も自身を“つまらない”と卑下する彼女が悲しくて、その度に彼女の今までの人生や孤独が目に浮かぶようでした。