才能とか評価とか、自意識とか信頼とか、このへんのお話はオークラさんの芯に近い部分の話だったと思うし、若いクリエイターに対する優しさを感じるところでもありました。ドラマとしての信念や美学があった部分だと思います。

 前回のレビューで、このミステリーは謎解きに“ニン”が乗ってないという話をしましたが、今回もそう。むしろ、より「ミステリーの部分で勝負してませんから」というエクスキューズを見せられた気分です。倒叙で、大部分の時間を使って謎解きをやって、それは通りませんよと思いました。

 そんでクレジット見てたら、「トリック監修」っていう人が入ってるんですね。なるほど、そうか、トリックに“ニン”が乗らないわけだ。ニンニン。

(文=どらまっ子AKIちゃん)