待ちに待った第1話の放送内容は、想像以上のスケールだった。狩山ら帝和建設の作業員と坂東(北大路欣也)率いる坂東組の面々が一丸となり、東京都にとって一大プロジェクトである龍神大橋の工事に邁進していくエネルギッシュな展開になると思いきや、建設現場で突如発生する爆発と崩落。凶器と化したワイヤーが飛び交う緊急事態のなか、作業員たちが死にもの狂いで逃げようとする光景はリアリティに満ちあふれ、今後狩山を待ち受ける壮絶な苦難を象徴するシーンとなった。
事故の原因として、ひとつの仮説が打ち出された。竹内涼真が演じる建設作業員・若松は、狩山に対して亡くなる直前に「すみません……」と最後につぶやいた。安価な海外製建材を狩山に黙って仕入れ、耐久性が足りず事故を引き起こしてしまったことへの償いに聞こえる。ただ、人のよさそうな振る舞いを見せていた若松である。独断でそこまでの大罪を犯そうとするだろうか。誰かにそそのかされない限り……。
つまり、この事故は“黒幕である誰か”により引き起こされたのではないか。この真相究明が本作品の軸になっていく。可能性として考えられるのは、狩山への怨恨の線だ。帝和建設で働く人間だけなく、狩山の妻・玲子(天海祐希)が勤務する聖修大学病院の関係者まで、登場人物の属性は多岐にわたる。この中に、狩山と玲子に恨みを持っている人物がいるかもしれない。
もうひとつ、企業を超えた巨大組織の陰謀に巻き込まれた可能性もある。龍神大橋は東京都をあげての一大プロジェクト。その指揮をとる東京都知事・榛名(賀来千香子)の失脚を狙う人間により事故は引き起こされ、狩山が巻き込まれたかたちも想像できる。また、帝和建設の代表取締役社長・磯田(小日向文世)が省庁出身ということも判明し、龍神大橋建設の背景には国家レベルの思惑が絡んでいるのかもしれない。