そんな中、この試合でのネリのドーピング違反が発覚。試合結果に消化不良を募らせていたファンのストレスは、一気にネリに向くことになる。

 ネリのドーピング違反は意図的ではなかったと統括団体に認められ、ネリはベルトを持ったまま山中との再戦のために来日した。そうして乗った体重計で、ネリは2.3kgのオーバーという失態を披露したのだ。

 試合後、事態を重く見た日本ボクシングコミッション(JBC)はネリの日本でのライセンスを無期限停止処分とした。事実上の永久追放である。海外のリングで復帰し、スーパーバンタム級で一度は世界タイトルも獲得したネリだったが、二度と日本のリングに上がることはないと思われていた。

 今回、JBCが規定を変えてまでネリの永久追放処分を解いたのは、たぶんに興行的な側面が大きいだろう。井上の価値を考慮すれば軽量級での待遇が悪い欧米ではなく国内開催が必然だが、すでに4団体を統一している現在の井上に相応しい相手を見つけるのは容易ではない。