■結果、ミステリーを残してきた

 記憶を失った状態で目を覚ましたまことさんの手元には、ひとつのリングがありました。

 別に仲良くなかったのに、仲がいい男友達だと言って近づいてきた朝日(神尾楓珠)、付き合っていたわけでもないのに、元カレを自称していた公太郎さん(瀬戸康史)、そして実際に付き合っていたのに初対面を装っていた律。3人の「リングの男」候補は、結果として全員ウソをついていたことになります。

 このドラマでは、まことさんという記憶喪失の人間が記憶を失ったまま再生していく様子を丁寧に描きながら、ひとつずつ「リングの男」についてのミステリーを紐解いてきました。

 そして最終回に、まことさんが記憶をなくすきっかけになった事故の真相をミステリーとして残しています。事故の日、律は着ぐるみを着てその場にいたことが明示されている。そしてまことさんは去年のクリスマスまでの記憶こそ回復したものの、お花見シーズンだった事故当日の律との関係は、覚えていない。事故の日近辺には、ストーカーに遭っていたらしいという情報もある。

 一方でラブコメとしても、まことさんに大きな決断をひとつ残している。律と付き合っていたことは思い出したし、思い出したからには律と付き合うべきだという気持ちはある。

 でも今の気持ちとしては公太郎さんが好きだし、律とキスしてもぜんぜんときめかなかったという事実もある。

 すべての真相が明らかになったとき、まことさんには選ぶべき道が出現するだろうし、その選ぶ「べき」とは別に、このドラマは「感情に従う」「過去の自分を探さない」ことの大切さも説いてきている。

 そんなこんなで次回は最終回なのです。いやぁ、刮目しちゃうね。

(文=どらまっ子AKIちゃん)