◆憧れの職業に就いたけど
「生徒全員が、これに馴染めるわけありませんよね。その後、不登校になる子も多かったです」
ミユキさんの職場である図書室には、そんな生徒も顔を出していた。
「本が好きな生徒や図書委員も来ますが、それ以外は校風になじめない、おとなしめの生徒や、教室でいじられている生徒がよく来てくれました。意外にも、学校って教室以外には居場所があまりないんですよ。彼らにとって図書室は、アジール(聖域)だったのかな」
ミユキさんは、短大で図書館司書の資格を取った。ときは就職氷河期まっただ中。県職員として、希望どおり司書の仕事に就けたのはラッキーだったとも思う。図書室を訪れる生徒との交流には、やり甲斐も感じていた。それなのに、
「セクハラに遭い、この高校を辞めることになったんです」
それは、生徒が自主的にテーマを決めて研究する自由学習の時間に起きた。
あるクラスの生徒たちから、環境問題についての資料探しを手伝ってほしいと頼まれたミユキさん。ひとつの机に集まる生徒たちに、「これはどう?」と手渡していく。