媒体への寄稿、そしてライターとしてのキャリア開始

執筆のご依頼をいただいた当時、私は副業禁止の会社に勤めていました。そこで、謝礼をごくわずかな額に設定し、副業と言えない範囲での執筆を開始。月2本から始まった「かくしごと」は、どんどん増えていきました。

 

18時に帰宅する電車の中で、Twitterへ投稿。帰宅後はメールをチェックして、依頼をいただいていたら返信。執筆。そしてご請求書やお見積書の手配。上がってきたプレビュー投稿の事前チェック。契約書の締結に、打ち合わせの時間調整。

 

ライターとは、書くだけのお仕事にあらず。思いのほか増えた経理・法務系の関連業務もあり、私はあれよあれよという間に激務時代の労働時間にカムバック。しかし私は、とてつもない快感を得ていました。仕事って、楽しい! 働くって、最高!

 

こうして、ワークライフバランスによる適応障害という、狂った労働観は癒されたのです。

 

もちろん、成功談ばかりではありません。SNSで拡散され、ご批判をいただくこともあります。ヒヤリ、としたことは1度や2度ではありません。それでも炎上を経験せず、なんとか辺境の恋愛・就活ライターとして、現在もお仕事をいただいています。

 

その間プライベートでは、海外赴任になった夫との離婚という、大きなイベントがありました。もともとライターになったのは夫の転勤から。「いったい何のために正社員を辞めて、海外へ同行したんだっけ」と脱力したのも事実です。

 

しかし、自分でコントロールできる労働時間に、大きな裁量権。ご縁をいただける新しい媒体さんや編集者さんとのつながり、立ち上がる新しい企画に、ワクワクする瞬間。突然の税金支払いや原稿料の未払いなど、トラブルもまた楽しいもの。ワーワー言いながら、独立して今年で5年になります。

 

あのとき、Twitterアカウントがあったから。ブログを書いたから。私のキャリアは「正社員を夫の海外転勤に同行して辞めた人」で止まりませんでした。SNSが、私の人生を革命してくれたのです。

 

失われる同期たち、そこで長く走る者とは


 

将来に、不安がないわけではありません。私がいま恐れているのは、孤独です。

 

ライターというと、孤独な作業を想像されるかもしれません。確かに、執筆作業は1人でおこないます。しかし、都心部では取材や交流会で、ライター同士は繋がっているものです。

 

私のときも、「同期」としてデビューしたライター同士はつながりがありました。仲良くなった人とは、月に1~2回会って飲む関係にも発展。原稿料の相場を確認したり、おすすめの媒体さんを教えていただいたり。新卒の和気あいあいとした関係にも似た、楽しいライター生活が待っていました。

 

しかし、やりがいある、楽しい仕事で次に待っていたのは底なしの離職率でした。外資系企業にいた私は、離職率が高くてもそこまで驚きません。ステップアップのために、他社からスカウトされて、体がもうもたないから……さまざまな理由で、外資の人はアッサリ転職していきます。

 

しかし、ライターの離職率はそれ以上。それも、ネットの誹謗中傷から精神的に病んでしまって……営業が苦手だから食べていけなくて……といった、あまり宜しくない理由も多くありました。

 

私も、外資で偉いひとから

「売れると言ったのに、全く売れないじゃないか、この詐欺師!」

「こんな仕事ぶりなんて、脳に障害があるんじゃないの?」

なんて罵られ、面の皮を育てた過去がなかったら……ネットの誹謗中傷で傷つき離職した側かもしれません。

 

気づけば、ひとり、ふたりと仲間が減り……。いま、同期といえるメンバーは、数名まで減ってしまいました。さあ、この孤独といかに向き合っていくか。才能なくご縁だけで書き始め、走り続けることで生き残ってしまった私が抱える次の課題です。

 

それでも、やっぱり思います。

書くことは、楽しい。

 

インフルエンサー☆☆☆を目指すわけではないあなたの人生も、きっとSNSを通じて変わったのではないでしょうか。お仕事の幅や、視野が広がっているのではないでしょうか。この20年でインターネット、そしてSNSなしに世界は成立しないほど、大きな存在となりました。

 

きっと、あなたの世界も変わっていきます。少しずつ、確実に。きっとあなたも、天職へのきっかけが、目の前を流れるタイムラインに、メッセージに落ちているはずです。ライターに限らず、仕事でしんどい思いをしているすべての人が「きっと、辞めても大丈夫」と思える人生を歩めるよう、願っています。

 

このお仕事につなげてくださった、Twitterとはてなブログに、そしてインターネットに感謝を込めて、今日は筆を置くことにします。

 

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