一方、野手では、鈴木誠也(カブス)や吉田正尚(レッドソックス)が総額100億円超で契約を結んでいるが、そろそろ“打ち止め”の様相だ。

「真っ先に浮かぶのは、WBCで大谷と共にクリーンアップを打った村上宗隆(ヤクルト)と岡本和真(巨人)ですが、現状では2人ともなかなか厳しい。村上は2022年に史上最年少で三冠王に輝きましたが、翌年は成績が急降下。守備や走塁に見るべきものはありませんし、三振率が非常に高いのも気になります。もう1度、三冠王を取れば文句無しですが、今のままでは、散々苦労した挙げ句に帰国した筒香嘉智(DeNA)の二の舞いでしょう。岡本も守備や走塁は村上と同じようなもの。打率が常に.270前後というのも数字的に寂しく、所属チームも問題です。巨人はすでに4年間、リーグ優勝から遠ざかっており、ファンを納得させるためには彼がMVPを取り、チームが日本一になるしかない。松井秀喜は3割50本100打点をクリアしてメジャーに渡ったので、彼もそのレベルの数字を残すしかないでしょう。これ以外の野手で実績があるのは、近藤健介、山川穂高、柳田悠岐など、いずれもホークスの選手ですが、近藤と柳田は好条件で長期契約を結んでおり、年齢的にもあり得ない。山川は女性トラブルで係争中なので声が掛かるはずがない。その他のWBCメンバーは守備や走力に長けた選手ばかりで、メジャー候補は見当たりません」(同上)

 要するに、野手の候補は現状ではゼロということだ。ただ、この状況はあくまでも一時的なものだという。

「今やWBCは選手の見本市になっており、ここで名を売ってメジャー行きをつかむというルートが出来上がりつつあります。今季メジャー移籍した今永は、実績や球速などから苦戦が予想されていましたが、見事に結果を出したことで現地では『日本人投手、日本人選手は買いだ』という声が高まっています。次のWBCまでにはまた新たなメジャー行き候補が出てくるでしょう。それとともに、日本の球団も対応を迫られる状況になっています。つまり、メジャー行きを邪魔するチームはアマ選手から嫌われるということ。球団としてはやりきれないでしょうが、日米でこれだけ年俸が違うと戦いようがない。日本球界を経ずにアメリカに渡る選手もどんどん出てくるでしょうし、人材流出は避けられない流れです」(フリーのスポーツジャーナリスト)

 行かないで欲しいような、向こうで活躍して欲しいような……ファンのやきもきは永遠に続きそうだ。