◆初めて彼の料理を食べ意外な一面にキュン
「Fが急にチャーハンを作ってくれたんです。それは卵とネギのシンプルなものだったのですが、パラパラしていてめちゃくちゃ美味しかったんですよ」
彼の料理を初めて食べた美智代さん。Fさんは今まで台所に立つ事は無かったのだとか。
「まぁ、お湯を沸かすぐらいはしていましたが、いつも私の料理を『美味しい、美味しい』って何の文句も言わず、喜んで食べてくれていて…自分から料理をする事なんて、まずありませんでした」
Fさんは、ふと中学生の頃に母親から作り方を教えてもらったチャーハンを思い出し、食べたくなったと語りました。
「なんか、そのチャーハンの美味しさと手ぎわの良さに感動してしまって…やだ、この人まだこんな引き出し持ってたんだと、キュンとしてしまったんですよ」
そしてようやく、Fさんが立ち上げた会社のサイトを見せてもらった美智代さん。
「私は会社の事とかよくわかりませんが、Fがなにか面白い事を始めようとしているは伝わってきました」
そして、こんなに美味しいチャーハンが作れる人なら会社も上手くいくかもしれないと強く思ったそう。いや、それとこれとは別では!?という気もしますが…。
「私の知っているFはほんの一面で、まだ見た事のないスゴい才能があるかもしれない…と急にドキドキしてしまって、別れたりしないでFについて行ってみようと思えたんですよね」
美智代さんはFさんを支えつつ、週1ペースで美味しいチャーハンを作ってもらっているそうです。チャーハンひとつで彼の夢を信じるとは菩薩のようですが、その想いが吉と出るか凶と出るか――。
―シリーズ「気になる男性・彼・夫の意外な一面」―
<文&イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop