◆「過去の良い面だけ見て何が悪いの?」との意見について

大吉原展公式サイト「みどころ」ページの一部(現在は閲覧できない状態になっている)
大吉原展公式サイト「みどころ」ページの一部(現在は閲覧できない状態になっている)
――一般的には、遊郭=江戸時代というイメージが強いように思いますが、明治時代以降も続いてはいたのですよね?

渡辺:はい。看板を掛け替えながら、女性が性を切り売りする場所としてはずっと残ってきました。吉原遊郭自体は戦後、1958年に罰則規定を含む売春防止法が施行されて無くなりましたが、現在もソープランドなどが並んでいます。

――吉原があった歴史は、現在もその地域に影響を与えているわけですよね。

渡辺:大吉原展擁護派の意見には「過去は過去、今は今じゃないか。過去の良い面だけ見て何が悪いの?」といった内容があります。しかし、吉原をはじめとした江戸時代の遊郭や性産業の流れが現代にも影響を与えているからこそ、地続きとして考えられるような見せ方をすべきだと思うんですよね。

また、今回の展示は藝大が主催することで、なんというか……内容に“お墨付き”を与えたような見え方になる危うさがあると思っています。だからこそ、発信する側は見せ方に責任を持って欲しい。そして、もう一方で、見る側も権威性に流されすぎずに見て欲しいと思います。

――何事も内容を鵜呑みにし過ぎず、自分でも確認しようとすることが大切ですね。