今回の『27時間テレビ』を見ていて、感じたことがある。

 粗品はかつて、「早く年を取りたい。早く40歳になりたい」と言っていたことがある。最年少で『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)に優勝したとき、粗品はまだ25歳だった。年上ばかりのテレビスタッフに思いが伝わらず、もどかしさを隠さなかった時期があった。

 今、粗品は31歳だ。同じスタンスのまま40歳を待つのではなく、31歳の粗品としてあるべきスタイルを模索してきたのではないか。その結果としての過剰な毒舌キャラが正解かどうかはわからない。だが、今回の『27時間テレビ』での粗品は、年長者にとってはヒールであったし、若年層にとってはヒーローに映ったはずだ。総合演出の田中良樹氏、杉野幹典氏が粗品と同年代だったことも心強かったに違いない。

 そして、あれだけの大仕事を終えてすぐ、打ち上げを断って反省動画を撮ってしまうのだ。どうあれ、粗品がおごっていないことだけは確かだろう。

(文=新越谷ノリヲ)