オープニングから臆することなく、ロックバンド・KEYTALKのメンバー脱退や直前に離婚を発表したばかりの金田朋子と森渉といったイジりにくいスキャンダルに触れて空気をほぐし、ひな壇に同局の港浩一社長、関西テレビの大多亮社長の顔を見つければ、ドジャース大谷の自宅報道問題を蒸し返して権威を剥がしにいく。粗品が視聴者が言ってほしいことを言い、相方のせいややほかのメンバーがそれを制止することで粗品だけが悪者になり、画面には爽快感だけが残る。
『さんまのお笑い向上委員会』では、「学園祭でよくある仮装」というテーマで明石家さんまを含む参加メンバーが仮装ボケを披露する中、粗品はひとり「僕はアンチ宮迫」と言いながら「宮迫」の手書き文字に×印をつけたプラカードを手に怪気炎。宮迫との因縁にラジオで「粗品に言う(説教をする)」と発言したさんまに対して「さんまも」と呼び捨てにし、さんまの後を追うように粗品に対して苦言を呈した西川のりお、嘉門達夫の名前を挙げて「みーんな老害!」と言い放った。
『粗品ゲーム』はYouTubeでたびたび物議を醸している「1人賛否」を応用し、「粗品が言いそうなこと」をひな壇の芸人に言わせるという形式で過激な意見を引き出そうとしたし、『FNS逃走中』では狡猾で計算高いイメージそのままに確保から復活即自首で150万円を獲得するというイメージ通りのムーブでSNSを盛り上げた。
ここまで“悪童”として番組を牽引しながら『ハモネプハイスクール』では審査員として、絶対音感を持つ立場から誰よりも知見に富んだ審査を行い、年下の高校生に対して存分に敬意を払う。このギャップが出せる芸人は、芸能界を見渡しても粗品しかいないだろう。