つい連絡を取ってしまったのが、アリ地獄のはじまりだった

 そのころ凛さんには交際している男性がいた。が、彼にイライラすることが増えて、彼と別れて地元に戻る。そこで、リョウが名前を変えて、別の店でナンバーワンになっていると知り、懐かしくなってつい連絡を取ってしまった。

 思えばこれがアリ地獄のはじまりだった。

 リョウは喜んでくれた。「安くするから」と言われ、また店に行ってしまった。

 リョウは凛さんのことを「好きだ」と繰り返す。営業トークだとはわかっているし、そもそも店に行くお金がない。だから「もう会わない」と言ったが、「お金じゃない。凛が自分には必要なんだ。凛と結婚したい」と言ってくれた。

 「お金じゃない」と言われて、信じてしまった。信じたかったのかもしれない。

 「お金じゃない」はずなのに、結局リョウと会うのは店だ。凛さんは“パパ活”をしたり、ついには風俗嬢になって体を売ったりして、店に行く費用を捻出するようになった。

 2年ほど前のことだ。そうすると瞬く間に、リョウにつぎ込むお金がピークになった。もちろん、そのために凛さんが体を売って稼ぐお金も。

――続きは8月4日公開です