位置情報のわかるアプリで声をかけてきたホスト

 凛さんは、6年前にリョウと名乗るホストと知り合った。ホストクラブに行ったわけではない。位置情報のわかるアプリがあって、そこで凛さんの近くにいるというリョウから声をかけられたのだという。

 凛さんは当時一人暮らし。精神疾患があり障害年金をもらっていたが、それだけでは足りず、アルバイトしながら生活していた。凛さんは決して派手なタイプではない。200万円ほどの貯金もあったというから、堅実と言っていいだろう。

 そんな凛さんが、アプリでリョウと話がはずみ「店においでよ」と誘われて、つい足を運んでしまった。店は都内ではない。近隣の地方都市なので、リョウを指名しても5,000円もあれば入店できるのだという。

 そんな気軽さがあだになった。誘われるたびに店に通ううち、あっという間に200万円あった貯金が底をついた。

「リョウに甘い言葉をかけられ、何度も『来て』と言われると、『行かなきゃ』と思ってしまう。そして、店に行くとバカスカお酒を飲んで、1回の会計が8万円とかになるんです」

 このままではダメになる。リョウから逃げようと思い、関西の知り合いを頼った。ところが関西での生活環境が合わず体調を壊してしまう。

 再び関東に戻ったがお金も仕事もなく、生活保護を受けて、ずっとアパートの部屋で過ごしていたという。

 リョウとは連絡を絶っていたが、リョウの店の従業員から連絡が来た。リョウが心配しているという。アパートで孤独だったこともあり、リョウに連絡をしてしまった。

 リョウから「急にいなくならないでよ」と甘い声で言われると怖くなってブロックする――そんなことを繰り返していた。