◆陰陽師シリーズでの愛すべき相棒感

『陰陽師』DVD(東宝)
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 ただ、筆者からすると、「海猿」前夜の作品にこそ、伊藤英明らしさがあったようにも思う。同シリーズで打ち出された屈強なイメージより、どこまでも軟弱なキャラクターを演じていた時期も同じくらい魅力的だったからだ。

 例えば、野村萬斎と共演した「陰陽師シリーズ」(『陰陽師』(2001年)と『陰陽師Ⅱ』(2003年))。野村扮する陰陽師・安倍晴明の相棒であり、右近衛府中将・源博雅を伊藤が演じた。奇々怪々、平安京で次々起こる難事件を晴明と一緒に解決していくバディ物だ。

 バディ物というのは大抵、一方がしっかり者でもう一方がちょっとマヌケなキャラに設定される。伊藤扮する博雅は完全に後者で、晴明の足を引っ張ってばかりいるが、愛すべき相棒感がある。