■ミステリーとしては複雑なことをやってる

 第1話の結婚式、第2話のぬいぐるみ、今回の学校での幽霊騒ぎと、謎解きとしてはこれまでの全話で二重構造の謎を作っていて、けっこう複雑なことをやってるんですよね。ちゃんと、ミステリーとしてもおもしろいものを作ろうとしている。

 それはもちろんいいことだし、現状ではミステリーの強度が『ギークス』というドラマを引っ張っているとも思うんですが、事件が複雑であるがゆえに本来は「あんまやる気ない」「定時で帰ることが最優先」というキャラクターで登場したはずの3人が、積極的に捜査に参加しなければならない状況が生まれていると感じるんです。

 前回のレビューで、ただ楽しいだけのダベってる時間を増やしてほしいみたいなことを書きましたが、これだけ事件の解決について伝えなければならないことが多いと、確かにダベるヒマがないよなぁというのが今回の印象でした。

 ミステリーとしておもしろいことで、コンセプトから離れざるを得なくなっている。事件をおもしろくすればするほど捜査の時間が長くなって、3人のキャラが薄くなる。3人のキャラを活かそうとすれば、事件をもっと簡単にしなくちゃいけない。そういうバランスの中でせめぎ合ってることは伝わってきますし、3話まででは今回がもっともそのバランスが取れていたと思います。滝沢カレンの酔っ払い芝居もよかったし、あの場面の、みんなが人の話を聞かないで勝手にしゃべってる感じは、このドラマの目指しているであろう空気感、グルーブ感が出ていたと思います。

 バランスの話でいえば、事件解決に関わる要素の分配も難しいんですよね。前回、前々回は鑑識の西条(松岡)がほとんど全部解決してしまって産業医・吉良(田中)と交通課・基山(滝沢)があんまり役に立っていませんでしたが、今回は比較的、均等に振り分けられていました。

 総じて、やるべきことが複雑なのに、あんまり複雑に見せていない。仕事ができる人が作ってるドラマだなと感じます。