私立大学進学にあたり、「学費やひとり暮らしの生活費は、奨学金でまかなおう」と考えている家庭も少なくないでしょう。たしかに奨学金は非常に便利な制度ですが、お金に関わることなので、実際に利用する前に予備知識をしっかりと持っておくことが大切です。ここでは、奨学金について知っておきたい基本的な情報や、そのメリット・デメリットについて分かりやすく説明します。

私立大学進学でかかる学費はどのくらい?

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奨学金について考える前に、まずは私立大学進学でどのくらい学費がかかるかを把握しておきましょう。文部科学省が公表している「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、国立大学・公立大学・私立大学それぞれ学費は以下のようになっています(2019年現在)。

国立大学 公立大学平均 私立大学平均
入学料 28万2,000円 39万2,391円 24万9,985円
初年度授業料 53万5,800円 53万8,734円 90万4,146円
4年間でかかる学費 242万5,200円 254万7,327円 386万6,569円

※国立大学は国が示す標準額

4年間の学費を比較すると、国立大学と比べて144万1,369円、公立大学と比べて131万9,242円と、私立大学のほうが100万円以上多くかかることが分かるでしょう。なお、ここでは4年間の学費は単純に初年度授業料を4倍にして計算していますが、大学や学部によっては、学年により授業料が上がる場合もあります。

また、ここで挙げている私立大学の学費は、あくまで全国の私立大学全体の平均の数字です。私立大学の場合は大学や学部によっても授業料が異なりますし、実習費や施設設備費を徴収する学部・学科もあります。

奨学金制度とは?概要と種類を解説

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それでは、大学進学における奨学金制度とは一体どのようなもので、どんな種類があるのでしょうか?詳しく解説しましょう。

国や地方自治体、民間団体や学校が行う進学の経済的サポート

奨学金制度とは、経済状況や社会情勢などを理由に、学生にお金を給付または貸与し、大学進学における学費や生活費といった金銭面をサポートする制度のことです。国、地方自治体や民間団体のほか、大学独自の奨学金制度も多くの大学が設けています。

国内のおもな奨学金提供機関のひとつが、「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」です。そのほかに、「一般財団法人あしなが育英会」のような民間団体もいろいろあります。

奨学金は基本的に2種類

奨学金には、基本的に「給付型」と「貸与型」の2つがあります。このうち給付型奨学金は、学生に給付される、つまり返済しなくてよい奨学金です。一方、貸与型奨学金はあくまで貸与なので、返済する必要があります。

返済の必要がない給付型奨学金は貸与型奨学金と比べ応募条件が厳しく、学力や家計の状態が規定の高い基準を満たさなければなりません。どちらのタイプの奨学金を利用するかは、学力や家計の状態などから見極める必要があります。

2020年4月からスタートした新制度とは

ここでひとつ注目しておきたいのが、2020年4月から始まった独立行政法人日本学生支援機構による新たな奨学金制度です。新制度では、大学などの授業料・入学金の免除や減額とあわせて給付型奨学金の支給が受けられます(ただしいずれも上限あり)。また、従来の貸与型奨学金も同時に申し込むことができます。

また、この新しい制度では大学ごとの人数制限を設けていません。「住民税非課税世帯・準ずる世帯であること」「学ぶ意欲があること」という2つの条件を満たせば給付対象となります。つまり、学力に関わらず、より多くの学生が支援を受けられるようになったということです。