◆階段から転び落ちて病院に運ばれる

階段から転び落ちて病院に運ばれる
 気が付くと、亜希子さんは熊谷駅に居ました。なぜそこで降りたのか、全く覚えていないそうです。もう既に上りも下りも終電は無くなっていました。亜希子さんは、駅員から急かされるように改札を通って見知らぬ駅で途方に暮れました。

「まだ酔いが回っていた私は、その時点でも足取りはフラフラだったと思います。そしてわけもわからず駅の外に出る階段を降りようとした時に、足を滑らせてそのままゴロゴロと転がり落ちてしまいました。物凄い悲鳴をあげたせいで人がちょっと集まって、私を覗き込んでいたことは記憶にあります。でも、そこで私は完全に意識を失いました」

 亜希子さんが次に目覚めたのは、ストレッチャーに乗せられてCTスキャンにかけられるその瞬間でした。医者からは「このまま安静にして、今日は入院してください」と言われたのですが、亜希子さんはそれを泣きながら拒否。「帰ります! 帰して! 帰して!」と大暴れしたとか。

「実は翌日から彼氏と鎌倉に旅行に行く約束をしていたんです。キャンセルして嫌われる恐怖の方が勝ってしまって、とにかくタクシーで朝までに自宅まで帰りたい、と。私が余りに泣くので医者も根負けして帰してくれました」