1件あたりの先進医療費用が高額な技術(2015年7月1日~2016年6月30日)

技術名/年間実施件数/1件当たりの先進医療費用

(先進医療A)

  • 重粒子線治療/1787件/309万3057円
  • 陽子線治療/2016件/276万22円
  • 樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワ クチン療法/65件/129万1191円 (先進医療B)
  • 経カテーテル大動脈弁植込み術/8件/477万2000円
  • 自己口腔粘膜及び羊膜を用いた培養上皮細胞シートの移植術(スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡 又は熱・化学腐食に起因する難治性の角結膜疾患)/9件/237万3000円
  • ベペルミノゲンペルプラスミドによる血管新生療法(閉塞性動脈硬化症又はビュルガー病)/1件/220万5700円
  • ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法(非小細胞肺がん)/5件/167万2000円
  • オクトレオチド皮下注射療法(先天性高インスリン血症)/1件/166万6672円
  • 重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植/1件/138万120円 (厚生労働省『平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について』をもとに筆者作成)

    先進医療の実施件数を見る限り、次のことが結論付けられる。

  • 先進医療の実施件数自体は決して多くはない
  • 高額な費用が必要な医療技術であっても、その治療を受ける可能性はかなり低い
  • 誰もが大きな費用負担に備えなければならない状況ではない もう一点、先進医療は保険診療の対象として適正かを評価中の医療技術であることも忘れないでおいてほしい。そのため、その安全性・有効性・技術的成熟度などが認められれば、重粒子線治療や陽子線治療のように技術料が高額な先進医療も数年後に保険診療の対象に組み込まれる可能性がある。現在、先進医療として300万円程度の技術料が全額自己負担となっていても、保険診療になれば30万円から90万円で済むようになる。

    <関連記事>先進医療などの対象となる医療技術の変遷-30年間における新技術の定着と保険適用の拡大

    先進医療特約が必要かどうかをどう判断する?

    先進医療という先端医療技術は多くの人にとって身近な治療ではないため、多額な費用負担を強いられる確率もかなり低いことをお伝えしてきた。

    しかし、医療保険やがん保険に先進医療保障が主契約に組み込まれていない場合、先進医療特約を付加しなくてもよいともいい切れない。ここからは、先進医療特約を付ける意義について検証していきたい。

    まずは一部商品について、30歳男性を対象とした先進医療特約とその他の特約部分の月払保険料を比較してほしい。