先進医療の実施件数が多い上位9技術(2015年7月1日~2016年6月30日、先進医療Aのみ)
技術名/年間実施件数/1件当たりの先進医療費用
- 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術/1万1478件/55万4707円
- 前眼部三次元画像解析/6739件/3662円
- 陽子線治療/2016件/276万22円
- 重粒子線治療/1787件/309万3057円
- 歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法/277件/6万4629円
- EBウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR法)/234件/1万5761円
- 高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術/145件/30万1000円
- 腹腔鏡下広汎子宮全摘術/136件/74万8666円
- 抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査/118件/3万7722円
(厚生労働省『平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について』をもとに筆者作成)
先進医療は高額なものばかりでない
実施件数の多い先進医療10技術だけを見ても分かるように、先進医療に係る費用は、数百万円もする高額なものばかりではない。実際、先進医療として認定されている「前眼部三次元画像解析」や「EBウイルス感染症迅速診断」のような検査技術であれば費用が数万円以内で済むこともある。実施件数が最も多い「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は1件あたりの先進医療費用は55万4707円である。
医療保険やがん保険の広告でよく耳にする「がん治療で先進医療を受けると高額な費用が必要になる」の根拠は、診察・検査・投薬・注射・入院料等は公的医療保険の対象であるものの、先進医療技術費用は全額自己負担であることや「重粒子線治療」「陽子線治療」の費用が高額であることにある。それでも、『最新がん統計』における2013年罹患全国推計値が86万2452例であることからすると、重粒子線治療と陽子線治療の年間実施件数の合計3803件は、実際にがんに罹患してもどちらの治療も受ける可能性は低いといってよい数値だ。
それ以外の先進医療費用が高額な上位10技術の年間実施件数は数件から多くても100件程度であり、こちらもたいていの人はほとんど関わることはない医療技術だろう。
先進医療費用が高額な上位10技術は次のとおりである。参考までにご覧いただきたい。