■ミステリーとしてどこまでがんばれるか

 もうひとつは、謎解きとしてのミステリーの構造です。事件現場に足を運ばず、与えられた情報から事件を推理していくスタイルをミステリーの世界では「アームチェア・ディテクティブ=安楽椅子探偵」と呼ぶわけですが、3人が居酒屋で刑事から事件の情報を聞かされるシーンなど、「安楽椅子」を象徴していて手際の良さを感じさせました。

 謎解きそのものも、無関係だったはずの人たちが裏でつながっていることがわかっていったり、単独犯だと思われていた殺人が複数犯だったり、解決したと思ったらもうひとつ裏があったりと、けっこう見応えのあるものになっていました。これくらいやってくれたら、ぜんぜん文句ないです。

 事件の解決に興味がなかったり、真相の究明より「定時に帰ること」が優先されたり、情報を受け取った結果「わかっちゃった」から教えるだけという主人公・西条のスタンスも実に“安楽椅子探偵”的で、ミステリーとしてのジャンルと人物たちのキャラが合っているのも気持ちがいいところです。

 第1話に限って惜しむらくは、事件解決のプロセスに対して、鑑識・西条の能力に頼りすぎていること。3人組がそれぞれ「ギークである」=「飛び抜けた能力の持ち主である」という設定を活かしきるなら、今回は「松岡茉優=8・田中みな実=1・滝沢カレン=1」くらいだった解決への貢献度を、なるべく平均的に振り分けられるような推理が作れたらいいなと、超絶難しい要求ではあると思いますが、そんなことを望みたい作品になっていると思います。

 あとしつこいけど、やっぱりタイトル気に食わないなぁ。おもしろいドラマだけに、『ギークス~警察署の変人たち~』なんて振りかぶらないで『私たち、定時で帰ります!』みたいな、あくまで普通の女性たちが普通に定時で帰りながら事件を解決していくというニュアンスのほうが、この内容には合ってると思うんだけど。というか、この人たちを「変人」と呼んでほしくないんだよな。変じゃないよ、別に。

(文=どらまっ子AKIちゃん)