◆賢者タイムは相手への愛情不足によるものではない

『女医が導く いちばんやさしいセックス』
――なぜ、相手のことを嫌いになったわけではないのに、賢者タイムが訪れるのでしょうか?

富永喜代(以下、富永):オルガズムに至るまでの性反応は、「(1)興奮期→(2)高原期→(3)オルガズム期→(4)消退期」の4つの段階に分かれているとされていますが、賢者タイムとは、この消退期に起こるものです。

 もともと賢者タイムという言葉はネットスラングなので、厳密な医学的定義はないのですが、「性交や自慰行為でオルガズムに達したあとに見られる、急激に性欲が減退している状態」(『新語時事用語辞典』)と説明されています。

 セックスやマスターベーションでオルガズムを得ると、脳内には愛情ホルモンのオキシトシンや快楽を生むドーパミン、鎮痛・鎮静作用を生むβ‐エンドルフィンなど、さまざまな脳内ホルモンが分泌されます。またセロトニンという睡眠・覚醒のリズムを整える物質も分泌され、自然で質の良い睡眠に導きます。