ある会社員は貯めていた1,000万円を使い、今はやりの「ゴーストキッチン」を開業しました。フードデリバリーサービス向けに料理を提供する形態のビジネスで、物件を借りてキッチンに資金を投じ、自分が動かなくても済むように従業員を雇用しました。
しかし、同じエリアでゴーストキッチンビジネスを始める人が増えたため、注文が思うように入らず…。
結局ゴーストキッチンを廃業することになり、立ち上げるために使ったお金はほとんど、水の泡になってしまったのです。
高収入な副業を探していたら…
楽して儲けられるならそれに越したことはないですが、そんな副業はないと考えたほうが身のためです。「楽して高収入」と銘打つ副業のほとんどは詐欺と考えてよいでしょう。
そして、嘆かわしいことにこのような心理につけ込む詐欺があるのが事実です。
「1ヵ月で100万円」「年収以上稼げます」
このような謳い文句でインターネット広告などを出し、問い合わせてきた人に「準備金」などとしてお金を振り込ませ、その後連絡を絶つという手口です。
1万〜2万円程度の被害であれば「勉強代」と思えるかもしれませんが、中には数十万円を振り込んでしまった人もいるようです。万が一、そのような詐欺に巻き込まれた場合は、弁護士に相談のうえ警察に被害届を出しましょう。
副業破産する人の3つの共通点
ここで、副業破産する人の共通点を考えてみましょう。
計画が甘い
副業といっても「業=ビジネス」である以上、高い成果を出すためには相応の時間、お金、情報が必要になります。場合によっては、本業よりもはるかに多くの労力をつぎ込まないとリターンは得られないかもしれません。
先行投資が大きすぎる
副業で月5万円の収入が得られたとしても、その前に100万円に該当するお金・時間を投資していたら少なくとも20ヵ月は続けないと元が取れません。それでも元が取れるなら良いですが、元が取れなければ損失が膨らむばかりになります。
詐欺に騙されやすい
必ず儲かる話などないし、仮にあったとしたら大半の人は誰にも教えず自分だけ(もしくはごく内輪で)で独り占めするでしょう。そのような背景を考えると「儲かる話がある」と持ち掛けられても疑ってかかるのが身のためです。
副業だけでなく転職や投資なども選択肢に
そもそも、副業をしたいと思うなら「なぜやりたいのか」を考えてからにするべきです。
本業にはしていないが人からお金をもらえるほどのスキルがある、定年退職後に長年の夢だったカフェを開業するための準備をしたいなど、前向きな理由があるなら副業は向いているかもしれません。
しかし単に収入や資産を増やしたいだけなら、副業にこだわることはないといえます。今の勤務先より給与の良い会社に転職したり、投資信託で手堅く資産を増やしたりすることも検討しましょう。
重要なのは自分の性格や環境に合わせて最適な選択をすることです。どうすれば自分や家族が心地よく、かつ豊かに暮らせるかを考えてみましょう。
文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。