待ちに待ったかわいいわが子との対面が近づいてくるにつれ、ちょっぴり不安になってしまうのが出産にかかる費用。特に出産のために入院したときにいくらかかるのか、準備のために前もって知っておきたいですよね。急にそのときが来て慌てないよう、入院費・分娩料全体の目安と、経済的負担を軽減するための制度を確認しておきましょう。

基本的な入院費に含まれるものと平均総額

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出産にかかる入院費と呼ばれる費用のなかには、一般的に「分娩料」「基本入院費」「新生児の入院費(新生児管理保育料)」といったものが含まれています(個室を希望した場合は別料金がかかります)。

費用総額は病院(診療所、助産院)や受けるサービス(部屋や追加オプションなど)によって異なりますが、次の通り正常分娩と帝王切開に大別されます。

正常分娩の場合は40~50万円が相場

公益社団法人国民健康保険中央会の調査による2016年度の正常分娩の出産費用は全国平均で約50万円でした。ただし地域によっても差があり、もっとも高い東京都では平均約62万円、一方もっとも低い鳥取県では平均約39万円と大きな違いがあります。

また同調査によると、入院日数の平均は6日となっており、その間にかかった入院料は平均約11万円、分娩料は平均約25万円という結果となっています。

帝王切開の場合はどの医療機関でも一律

帝王切開の場合、手術にかかる費用は診療報酬点数で計算され一律です。2020年の点数を見てみると、緊急帝王切開は22万2,000円、選択帝王切開は20万1,400円となっており、32 週未満の早産など複雑な場合は2万円が加算されます。

正常分娩の平均値より低額の傾向にありますが、入院日数が7~10日と長くなりやすいため入院費用が上がる点に注意が必要です。ただし帝王切開の場合は健康保険適用となります。

また近年では無痛分娩を希望する妊婦が増えていますが、その料金は医療機関によって幅があります。正常分娩の分娩料に、10万円ほどが加算される病院が多いようです。

費用の負担を軽減する制度

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妊娠・出産のためのお金については、病気ではないことから健康保険の対象外となるため基本的に全て自費です。大きなお金が必要となる出産ですから、できるだけ負担を軽くしたいもの。少子化対策の意味もあって国や自治体が行っている補助を積極的に利用するようにしましょう。

出産育児一時金

50万円ほどもかかる出産費の負担を軽くするための措置として、忘れずに利用したいのが出産育児一時金です。子ども1人あたり42万円を受け取れるというもので、場合によっては全額をカバーしたうえでおつりが出ることもあります。42万円をオーバーした費用については自費で支払う必要があります。

直接支払制度を利用すれば、加入している健康保険組合等から病院に直接42万円が支払われ、妊婦やその家族は必要に応じて差額のみ、つまり総額50万円だった場合は8万円の支払いにすることができます。

同様に支給額の超過分のみの支払いで済む制度としては、被保険者が申請手続きをする必要がある受取代理制度もあります。どちらが利用できるか、前もって病院に確認しておきましょう。

これらの制度を利用しない・できない場合は、産後に全額を自費で支払い、改めて健康保険組合等に申請する必要があります。

出産手当金と育児休業給付金

出産手当金は、産後に産休前と同じ職場で働く場合に受け取れるお金で、過去12ヵ月の給与を基準に日給の3分の2相当額が支給されるというものです。出産日以前42日(双子など多胎妊娠の場合は98日)から、産後56日目までの範囲で休んだ日数から計算されます。

育児休業給付金は国が支給するお金で、育休をとる母親だけでなく父親も対象です。産後8週から最大で子どもが2歳になるまでが支給期間となり、その金額は育休開始から180日までは休業開始時賃金の67%、181日目以降は50%です。