◆抗がん剤治療の副作用にも怯える日々

 せっかくの新しい部屋なのに、具合が悪く、ベッドで横たわっているだけ。喜ばしいことなのに喜べていない自分も嫌でしたし、そんなことを言いだした自分も責め続けていました。

 そんな時期に、パクリタキセルという抗がん剤の治療をしていました。脱毛ももちろんですが、それに加えて主な副作用が「しびれ」と「むくみ」です。

 この薬は、3週間に1度のサイクルで行う「AC療法」とは違い、毎週1回の点滴を12週間続けるサイクルで行われます。脱毛の副作用もありますが、AC療法のような吐き気の副作用は少ない代わりに、毎週少しずつ「しびれ」が現れるというのです。末梢神経に作用してしまうので、手や足の先に影響が出てしまうとのこと。

 怖がりのわたしは、抗がん剤開始までに、副作用についてあれこれ調べすぎてしまいました。それで想像が膨らみ、いったいどんなしびれが襲ってくるのか怖くて仕方がありませんでした。しびれは打つたびに少しずつ強くなるようなのですが、個人差があり、指先がうまく使えないなど生活に支障が出る場合があるとのこと。

 あまりに怖くて、初回に打つときにも先生に何度も話を聞きました。先生は「本当にしびれて日常生活に支障が出るならQOLを優先して途中で辞めることも考えますから、毎回相談しながらやっていきましょう」と言ってくれました。

 やるしかない。どうせやるならやりきらねば。と思い詰めていたので、先生の優しい言葉で少し気持ちが和らぎました。