妊娠届の提出とともに交付される母子健康手帳。その内容を確認すると予防接種を記録するページが出てきます。そこで気がつくのが予防接種の種類の多さです。予防接種は赤ちゃんの体を守るために大切なことだとはわかっているものの、気になるのはどれくらい費用がかかるのか気になるのではないでしょうか。そこで今回は、赤ちゃんの予防接種にかかる費用について詳しく紹介していきます。
予防接種とワクチンの役割は?
ウイルスや細菌などが人の体のなかに入り増殖すると、発熱やせきといったいろいろな症状が出てきます。こういった感染症にかかると、次に感染症にかかったときに対抗できるように抗体を作り、体を守ろうとします。これを免疫と呼び、免疫の仕組みを取り入れたのがワクチンです。
ワクチンはウイルスや細菌の毒性を弱めて作ったものや、感染能力をなくしたものを使って作られています。このワクチンを定期的に接種し、万が一感染したときに重症化を防ごうとするのが予防接種です。
予防接種は個人を守る意味合いはもちろん、社会を守る効果も期待できます。社会全体で予防接種を受けていれば、もし流行しても広がるのを防いでくれるからです。流行を防げば、予防接種できない人を守ることにもつながるのです。
0~1歳までの赤ちゃんが対象の主なワクチン
予防接種は年齢に合わせて行い、種類もたくさんあります。また1回の接種で終わりではなく、2回から4回接種するものや毎年接種するものなどさまざまです。ここでは、赤ちゃんが対象となる主なワクチンを紹介していきます。
0歳からのワクチン
Hib(ヒブ)ワクチン
4回接種で、ヒブ感染症にかかるリスクを減らすことができます。
小児用肺炎球菌ワクチン
4回接種で、13種類の肺炎球菌に対する抗体ができ、重篤な肺炎球菌感染症にかかるリスクを減らします。
4種混合ワクチンや2種混合ワクチン
赤ちゃんのときに4回接種で、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオに対して抗体ができます。11歳以降に改めて2種混合ワクチンを1回接種し、ジフテリアと破傷風に対する抗体ができます。
BCG
1回接種で、結核に対して免疫が作られます。
B型肝炎ワクチン
3回接種で、B型肝炎ウイルスに対して抗体ができます。
ロタウイルスワクチン
2回から3回接種で、ロタウイルスに対して抗体ができます。
1歳からのワクチン
MR(麻しん風しん混合)ワクチン
2回接種で、麻しんや風しんに対して抗体ができます。
水痘(みずぼうそう)ワクチン
2回接種で、水痘に対して抗体ができます。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ワクチン
2回接種で、ムンプスウイルスに対して抗体ができます。
日本脳炎ワクチン
4回接種で、日本脳炎に対して抗体ができます。1歳未満でも接種できますが、3歳から接種するのが標準です。
生後6ヵ月以降、毎秋のワクチン
生後6ヵ月以降で毎年秋に接種したいワクチンは、インフルエンザワクチンです。インフルエンザに対する抗体ができます。生後6ヵ月から12歳までは毎年2回接種で、13歳以降は毎年1回接種です。
定期接種と任意接種
予防接種には、定期接種と任意接種の2種類があります。どのような違いがあるのか見ていきましょう。
誰もが受けるべき定期接種
定期接種とは、市区町村が実施します。一部自己負担が必要な場合もありますが、基本的には無料です。定期接種で万が一健康被害が出た場合は、厚生労働省による予防接種健康被害救済制度があります。
希望に応じて受ける任意接種
任意接種とは、希望者がそれぞれで受ける予防接種です。任意接種の費用は自己負担ですが、市区町村独自で補助している場合があるので、確認してみてください。任意予防接種で健康被害が起きた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による医薬品副作用被害救済制度が準備されています。