◆近年では塾が“世話焼き”をしない傾向

 熱く語る長谷川さんですが、そんな長谷川さんの元には、セカンドオピニオンとして塾の学習のフォローを求める親御さんが後を絶ちません。現在定期指導の定員はいっぱい(コンサルは受け付けている)とのことですが、そもそも長谷川さんが受験生に向き合い続けるようになった理由は、どこにあるのでしょう。

「もともと僕は、厳しい両親のもと勉強漬けの子ども時代を過ごしました。大学生になったら、やりたかったバンド活動と学問を両立したいとずっと考えており、効率的にお金を稼ぐ方法として、家庭教師を選択したのがキッカケです。そこから塾講師や予備校講師、教材作成など、いろんな形態で教育に関わりましたが、音楽の師である方のお子さんの勉強を見たことが、家庭教師業を本業にする転機になりました。

 ノートを見たり学習面の話を本人や保護者からじっくり聞く中で、相手の弱点や強化すべき部分を初対面の段階から見つけられ、受験までの学習計画をある程度、体系的にアドバイスできるようになったことを実感できたんです。そこから受験コンサルティングの顧客を募集し始め、すでに行っていた受験情報ブログからの集客もできるようになり、今の形に至ります」

 現在は定期での家庭教師業に加え、スポットでの受験相談なども多いと言います。長谷川さんを求める声は中学受験の加熱と並行し増えているそうですが、その理由は近年の塾の指導傾向の変化にもあるとか。

「最近は塾側のフォローがなくなり、“(大学受験の)予備校化”が進んでいます。世話焼きはほとんどせず、家庭のフォロー任せといった塾がトレンドになっています。しかし多くの家庭は共働きですから、フォローしきれなくなります。そうなると家庭教師が必要になっていきます。特に世話を焼かない傾向が強い塾である、『SAPIX』(首都圏・関西圏の中学受験の大手塾)に通う子のほとんどは、おそらく家庭教師をつけていると思いますよ」

 中学受験における塾代は平均184万円(※)という調査がありますが、それは塾(通常クラス)+塾(長期休暇の講習)+家庭教師、といったコンボ技の結果のようです。教育費が青天井になるのも頷けます。

※クレジットカード会社のモデル百貨(長崎県佐世保市)の調査より(受験をして中学生になった子どもを持つ全国の保護者500人を対象に、2024年1月24日~2月1日に実施)