自分の表現や演技を追求している福士さん その姿勢はとっても信頼できるし、美しい
そこで、おふたりにお互いに美しいと思ったところを教えていただくと。
松本 私から答えていい?
福士 ぜひ教えてください!
松本 こんな風に気楽な感じで話していますけど、福士さんはお仕事や芝居のことになると、とことん突き詰めるというか、自分の表現や演技を追求している人。その姿勢は、とっても信頼できるし、美しいと思います。先ほど、圭介が怖かったと話しましたけど、その怖さは美しさでもあり、色気でもあり。ものすごく美しく皆さんの目にも映ると思います。
福士 少し恥ずかしいですが、そう言っていただけて嬉しいです。えっと、松本さんの美しさは、“覚悟”だと思います。お芝居のためならなんでもやりますという気合というか、覚悟がものすごく伝わってくる。その覚悟に僕自身も引っ張っていただきました。肝っ玉が座っているというか、芯がブレないというか。そこがカッコよくて美しいと思います。
美しいといえば、作品中でも肉体美を披露しているおふたり。ボディメイクについて教えてもらうと。
福士 僕は武術と格闘技をしています。ほかにも、乗馬や居合道など、いろいろやってます。今日もジムでウェイトトレーニングをしてきたから筋肉痛で(笑)。
松本 撮影中よりがっしりしてない?
福士 そうかもしれません。本当はもう動きたくない、トレーニングなんてやりたくないと思うんです。常にサボりたいという気持ちが出てきてしまうのですが、そんな自分に負けないように、トレーナーさんに予約を取って行かざるを得ない状況を作ってます。
松本 約束しちゃったら行かなきゃだものね、わかる。私もピラティスとジャイロをやっているのですが、休みが決まった瞬間に予約を入れます。そうしないと怠けてしまうんです。なので、サウナとかマッサージとかも、とにかく休みの日に詰め込んで、ひたすらこなしていくという(笑)。
福士 似てますね(笑)。たぶん、一度怠けたらとことん怠けてしまうタイプなのがわかっているので、自分で自分をしつけるではないですが、強制的に動くように習慣づけてるんです。
松本さんは来年で40歳。美しさに年齢は関係ないというけれど、実年齢を聞いて驚く人も多いはず。
松本 もちろん、努力してますもの(笑)。でも、あんまり自分の年齢を意識したことがないというか、まったく考えていないんですよね。なので、体が若いと勘違いしてくれてるのかも。意識してることは丁寧な暮らしをすることかな。
福士 たとえばどんなことをしてますか?
松本 お風呂掃除とか。お風呂上がるときに排水溝から水回りまで水滴が一滴も残らないように拭いてから出るのがルーティーンです。
福士 かなり時間がかかりそうですね。
松本 お風呂上がりに自分の体を拭いたバスタオルでパパパッて拭くだけだから1、2分で終わりますよ。これも体づくりと同じで、一度怠っちゃうとやらなくなってしまうから、どんなに疲れていても絶対やると決めているんです。毎日やるから洗剤もいらないですし、汚れもたまらないので大掃除もしなくていいんです。掃除がそんなに好きではないからこそ、毎日習慣化させて、努力と思わないようにしてるんです。
福士さんにも体づくり以外のルーティーンを教えていただくと。
福士 語学です。英語はずっと勉強していて、今、韓国語と中国語も勉強中です。
松本 レッスンを受けているの?
福士 いいえ、基本独学です。
松本 すごい、私もドラマ「愛の不時着」を観ていたときは、ハングルを覚えたくて、書けるようにはなったけど、今度教えてください。
福士 書けるのはすごいですね。僕もまだ完璧ではないので、30代のうちに3ヶ国語はもっと上達させたいと思っています。
最後に、あらためて作品の公開を楽しみにしている読者へメッセージを。
松本 この作品は人間のドロドロした部分や醜い部分、もどかしい部分、あとは、湖の美しさや自然の美しさ、全て美に至る映画なのではないかと思っています。圭介と佳代の関係は理解され難いかもしれないけれど、佳代が圭介に支配されることで生きている実感を見出せたところはすごく美しかったですし、希望を感じました。みなさんがどんな感想を持ってくださるのかとても楽しみにしています。
福士 僕が思うこの作品のイメージは“堆積”。この作品は、歴史によって人が形成されていくことや、歴史の圧に抗えないまま生きている姿が同時に描かれているのですが、それは湖そのものだなと。川や海のように流れるものではなく、どんどん堆積していくのが湖だと思ってこの言葉を選びました。これまでの役とはまったく違う役を演じたので、観てくださる人の目にどう映るのか不安でもあり、楽しみでもあります。ぜひ映画館で観ていただき、感想を共有してもらえたら嬉しいです。