◆「彼女ならすぐ落ちるんじゃない」同僚男性に悪魔のささやき
サエミさんは、マキさんのはしゃぐ様子を見ながら、元夫とマキさんとの仲はうまくいかないだろうと思っていた。
「マキは誰にでも媚びを売るタイプ。おそらく母親になってもそれは変わらないだろうと思っていました。そして元夫は、本当はそういう女性が嫌いなはず。少なくとも妻が他人に媚びているのを見て平気ではいられない。いつかマキが墓穴を掘るだろうと思っていました」
出産して半年足らずで、マキさんは仕事に復帰した。噂によれば元夫がまた失業、マキさんが働かざるを得なくなったらしい。
世の中には、母親になった女に興味を持つ男もいる。少し前に中途入社してきた、サエミさんの同僚がそうだった。マキさんの少しやつれた様子に色気を感じるとつぶやいたのだ。
「彼女ならすぐ落ちるんじゃないかな。優しくしてあげたら?」
サエミさんは悪魔のささやきを同僚男性に投げかけてみた。彼はサエミさんとマキさんの関係を知らなかったはずだ。