◆親のお金で海外旅行する気満々

 真希さんが引いたのはそれだけではありません。

親のお金で海外旅行する気満々
「サヤカは昔から洋楽アーティストが好きだったんですが、『今度、海外のライブに一緒に行こうよ!』と誘われたんです。私が少し嫌味っぽく『そんなの行くお金ないよ~』というと『同じアーティストのファンの子が泊めてくれるから大丈夫だよ!』と言っていました。

 ホテル代はともかく、そこまでの飛行機代はどこから出るの?!と思いましたね……。しかも、どうして仕事しないの?と聞くと『まだ、たまに鬱っぽいから無理なんだよね』と言うんです。正直もう、本当かどうかは分かりませんよね……」

 そんなサヤカさんも、もう37歳。真希さんが知る限り、サヤカさんは1度も就職も1人暮らしもしたことがないといいます。「サヤカよりもご両親のことが心配」と真希さんは懸念します。

 ちなみにサヤカさんには結婚願望はないようで、今の彼とも結婚する気はなさそうだといいます。20歳の頃の失恋を理由に、いまだに働かないサヤカさん。海外旅行したいという活力があるだけ、まだまだ希望は持てるように思えるのですがーー。

 働いてなく、求職活動もしておらず、独身で家事もしていない「非求職無業者」は、2017年、35-49歳で60万6000人にのぼります(独立行政法人労働政策研究・研修機構「資料シリーズ No.217 若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③)。その親世代が亡くなる時期に突入すると、彼・彼女たちはどうなってしまうのでしょうか。「甘え」では片付けられない、社会問題なのです。

<文/結城>

【結城】

男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer