◆最終話は“フワッと変な感じ”だった

木曜劇場『いちばんすきな花』10話より ©フジテレビ
 どんなテレビドラマでも最終話ともなると、何だか卒業式みたいな気分でソワソワしてしまう。間違いなく2023年の最注目ドラマに他ならなかった『いちばんすきな花』の最終話はどうだったか。

 フワッと変な感じだったなぁ。それが率直な感想だ。フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した新人ながらデビュー作『silent』(フジテレビ、2022年)で話題をさらい、本作に再度大抜擢された生方美久の脚本術に心から称賛を送りたい。

 彼女が繰り出す独特な会話のテンポは、日本映画界の巨匠・小津安二郎の空気感が令和にも生きていることをどこか感じさせた。

 いや、もちろん小津映画のリズムとは似て非なるものではあるのだけれど、すごく違和感がありながら心地よいリズムを刻む点では同質な気がする。何よりも、この変とか違和といった感覚が、最終話を際立たせているのだ。