◆「信頼感を勝手に壊したのは夫ですから」

 もし夫が離婚したいと言ったら?

「それはしかたがないでしょう。離婚するなら、それなりに精神的賠償(ばいしょう)はしてもらいたいし、子どもたちの教育費もたんまり取るつもりです。帰ってくるなら、それなりの懲罰(ちょうばつ)が必要ですよね。ルール違反を犯したのは夫なんだから。私自身はどちらでもいい。ただ、無理やり一緒にいたいとは思わない」

話し合い
 夫の浮気が発覚すると、改めて夫への愛情に目覚める妻もいるのだが、ルミさんはもっとビジネスライクというかドライな感じなのが印象的だ。

「私と夫は結婚相談所で出会ったんですよ。結婚するなら、対等に暮らせて、一緒に家庭を築いていける人がいいという条件で選んだのが夫。今までは家事も育児もかなりきちんと分担してきたし、協力し合えるパートナーだと思っていたけど、そういう信頼感を勝手に壊したのは夫ですからね。別れるにせよ戻るにせよ、今まで通りにはいきません。もうひとつ、自分の男を見る目のなさも痛感しています」

 涙ぐむこともなく、淡々と話すルミさん。子どもたちへの愛情は人一倍深いようだが、これだけドライだと、夫への気持ちはどうだったのだろうとよけいなことも考えたくなる。

「夫とは大人同士だと思ってつきあってきました。家庭や私に不満があるなら言えばいい。言わずにこそこそ浮気をするような男を選んだ私のミスだったという思いが強いんです」

 強い女性である。この強さについていける男性がいるのだろうか、とふと思ってしまった。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio