◆リハビリがてらの婚活のススメ

――そもそも、石田さんが精神疾患を抱えながら婚活を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

石田:診察の際に主治医から「結婚すれば?」と言われたのですが、完全に思い付きだったと思います(笑)。うつ病になり、休む期間を経て少し回復してきて「私はこの先どうしたらいいんだろう」と不安でいっぱいだった時期でした。精神科やデイケア(患者の自助施設)はとても居続けやすいところなのですが、私の場合は社会と断絶し続けることに対して焦燥感がありました。そんな時のアドバイスだったので「じゃあやってみよう」と思えたのだと思います。

――婚活を始めたことで、どんな効果があったのでしょうか。

石田:婚活という”補助線”があることによって、社会と繋がるためのスキルとテクニックがすごく分かりやすくなるんです。精神的な病を患うと自分のことがどうでもよくなってしまうことが多くあります。そこで婚活が、お風呂に入ったり爪を切ったり、基本的な生活を見直して、人間関係を作っていくモチベーションを上げるのに役立つんです。

最終的に結婚するかどうかはどちらでもいいと思います。「親友を作る」よりは現実的だし、上手くいかなくても支障がありません。私自身、診療仲間と婚活について話していて、そのプロセスに回復の知恵が宿ることを実感しています。

シャワー
「頭と身体 が バラバラで自責と罪悪感 まみれの 私たちにとって、お風呂と歯磨きなんて『ちょっとした事』どころか大偉業です」(石田月美.『ウツ婚!! 』晶文社より引用。画像はイメージです).
――結婚することよりも、行動してみる過程の方が大切なんですね。

石田:病気が少し寛解(かんかい)してきたところでリハビリがてらに婚活をするのがいいのではないかと思います。婚活はいつでも自分の都合で中止できるところが最大のメリット。少しでも「調子悪いな」と思ったらやめてしまえばいいんです。

ただ、精神的な病を抱える人は、危険な男性と付き合うことが多かったり、家族関係に問題を抱える方が多いです。暴力的な男性は排除して、原家族(自分が子どもとして生まれ育った家族)から脱出を試みるためには、生活や人間関係を見直すことから始めることが大切なのではないかと思います。