「生涯未婚率」は、50歳まで一度も結婚をしたことのない人の割合を示す言葉ですが、政府は2019年9月に、表現を「五十歳時の未婚割合」に変更すると発表しました。
遅めの結婚である「晩婚」なども増え、「生涯」という言葉は正確性を欠くという判断です。言葉を変更するほど、未婚化・晩婚化といった結婚観が多様化しているということになりますね。
では、女性の未婚率はどのくらい上昇しているのでしょう。未婚率上昇の理由もご紹介します。
30代女性の未婚率は、30年前より約20%上昇
女性の社会進出やライフスタイルの多様化などの影響で、未婚率は上昇し続けています。
総務省国勢調査の2015年の結果によると、30~34歳の女性は、およそ3人に1人(34.6%)が未婚で、35~39歳の女性はおよそ4人に1人(23.9%)が未婚という結果でした。
30年前の1985年の結果では、30~34歳の女性はおよそ10人に1人(10.4%)が未婚で、35~39歳の女性はおよそ15人に1人(6.6%)が未婚という結果でした。2015年と1985年を比べてみると、それぞれ24.2%、17.3%の差があり、2015年の調査結果では未婚率が上昇していることが分かります。
「五十歳時の未婚割合」も1990年までの国勢調査では4.3%程度で横ばい状態でしたが、その後は上昇を続けています。2015年の国勢調査では、14.1%という結果でした。今後も上昇傾向は続くことが予想されていて、2025年には18.4%になるのではないかとの推計が発表されています。
結婚したい女性はどのくらい?
未婚率が上昇していますが、結婚したいと考える女性も減少しているのでしょうか。
厚生労働省の第4回 21 世紀成年者縦断調査によると、調査対象だった23~32 歳の女性のうち、72.1%が「結婚意欲がある」と回答しています。
どちらともいえない17.6%、結婚意欲はない8.2%と続くので、未婚の女性の結婚願望がなくなっているとまでは、言えないのではないでしょうか。
どうして独身が増えているの?4つの理由
結婚に意欲がない女性は全体を見ると少数派なのに、未婚率が上昇しているのはどうしてなのでしょうか。理由として考えられるものを4つご紹介します。
1、雇用の不安定化
非正規の働き方をする人が増加しており、雇用の不安定化から結婚を考えられない人が増えているようです。
厚生労働省の第4回 21 世紀成年者縦断調査によりますと、調査対象だった23~32 歳の女性のうち、72.1%が「結婚意欲がある」と回答していましたが、正規の働き方の女性が79.3%だったのに比べ、非正規の女性は61.8%と17.5%も低い結果になりました。
結婚の相手である男性では、「結婚意欲がある」と答えた正規の働き方の男性は68.0%でしたが、非正規の男性は45.6%と、22.4%も低い結果でした。
特に非正規の男性で、「結婚意欲がない」と答えた人は、20.4%にも上りました。雇用形態が結婚したいという気持ちにも影響していることが考えられます。
2、ライフスタイルの多様化
同じような年齢に結婚し、出産をする。ということが減り、ライフスタイルは多様化しています。
誰かと比べたりするのではなく、「自分らしく生きていく」という生活を楽しんでいる現代の人は、それを壊すような気がする結婚に踏み切れない場合があるのではないでしょうか。
転職をしたり、転勤があったりと環境の変化が多くなると、パートナーを見つけることが難しくなるのかもしれません。
3、結婚観の変化
結婚することは、他人と一緒に暮らすことです。これまで自分の好きなライフスタイルを送ってきた人にとっては、息苦しく感じる場合もあるかもしれません。
結婚観も多様化していて、正解はありません。それでも、パートナーと理解しあえることが必須条件です。好きな人と一緒に暮らす楽しさよりも、自分の好きなように暮らしたいと考える人も増えていそうです。
4、出会いのきっかけが変化 お見合いが減少
国立社会保障・人口問題研究所の調査結果によると、1960年末ごろ、結婚の多数を占めていたお見合い結婚の比率が、恋愛結婚よりも少なくなりました。
2010~2014年の調査では恋愛結婚が87.7%。お見合い結婚が5.5%という結果でした。お見合い結婚は、イメージ通りのお見合いと結婚相談所でパートナーを見つけた場合を指します。
結婚相手を紹介してもらえるお見合いが減ってしまった現代では、パートナーは自分の力で見つける必要があり、そういった機会が減少していることも要因として考えられます。
結婚したいなら、アクションを
未婚率が上昇していて、独身の女性が増えていることは事実です。けれども、結婚したいと望むなら、自分からチャンスをつかむアクションをする必要がありそうです。
新しい出会いを求めて習い事を始める、結婚相談所に行ってみるなど、自分にできそうなことから始めてみませんか。
文・奥野愉加子(美学のある暮らし代表)
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