◆普通と普通じゃないを行ったり来たりしている

 普通と呼べる人物はほとんどいない、だからといって、異常者ばかりのドラマかと言えば全くそうではない。他人に迷惑をかけることはそれだけ日常的で、つまりは誰でも普通でなくなる瞬間は珍しいことではない。有紗と岡村は一見対比のように描かれていたが、有紗が普通になって、岡村が普通ではなくなるケースもある。

 ラストシーンでは、目玉焼きをひっくり返せなかった岡村に有紗は「大丈夫です」と言い、皿にウィンナーを入れられずテーブルの上に落としてしまった有紗に岡村も「大丈夫です」と笑いながらフォローしていた。ミスは誰でもするが、その際に笑顔で許し合うことができれば、普通かどうかは関係なく楽しく生きていけるのかもしれない。

 障がいの有無にかかわらず、私達は普通と普通じゃないを行ったり来たりしながら生きている。もし自分が普通でいられている時は、そうじゃない人に「大丈夫です」と優しく声を掛けたい。そんな気持ちになる。いろいろ考えさせられたが、まずは、誰かに優しくしたくなるドラマだった。

<文/望月悠木>

【望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki