◆いかに映画的な俳優であるか
あるいは、長谷川博己主演の『アンチヒーロー』では、日曜劇場に初出演。勝つためには手段を選ばない弁護士・明墨正樹(長谷川博己)が、弁護を引き受けた殺人事件の犯人を岩田が演じる。緋山啓太(岩田剛典)が、勤務先の工場社長を殺害。凶器に使われたのはハンマーだった。
トビー・フーパー監督によるホラー映画の金字塔『悪魔のいけにえ』(1974年)では、殺人犯の凶器として、ナイフでも拳銃でもチェーンソーでもなく、ハンマーが選ばれている。理由は、ハンマーを振りかざす絵が、他の凶器より格段に映画的な運動感をうむからだ。
『アンチヒーロー』第1話の回想場面では、緋山がハンマーを振りかざすワンショットがある。テレビドラマ作品とはいえ、このワンショットこそ、岩田剛典がいかに映画的な俳優であるかを証明する署名のような場面だった。