■やっぱり「イップス」という設定がしんどい
ミコさんはイップスで小説が書けない、森野はイップスで事件現場に行けないというのがこのドラマの大前提なんですが、森野、行けるんですよね。途中からいなくなったりすることはあっても、誘拐でもされない限りは必ず現場に行けてる。で、途中からいなくなっても別の場所で捜査を進めたりしている。
毎回「行けない」というフリが入って、必ず来て冴えた推理で事件を解決して、また次の回になったら「行けない」と言い出す。それを繰り返してるので、ドラマの設定そのものに説得力がなくなってしまってるんです。バカリズムの冷めた表情とか、第1話や今回見られた短い手足で全力疾走するシーンとかはすごくキャラクターが立ってて楽しいので、いっそめちゃくちゃ事件を解決したい刑事と言ってもらった方が見やすくなるだろうなと思っちゃう。
設定として説得力がない上に、森野が「行けない」と毎回言うことが作劇としての弊害にもなってる状況があって、今回でいえばミコさんには「真犯人を突き止めたい」と思う動機がないんです。動機がないのに、森野が「行けない」と言っているせいで単独で捜査を開始しなければ物語が進まなくなってる。
そういう無理が発生しているので、ただでさえちょっとアレだなという篠原涼子のお芝居が、さらにアレに見えてくるという悪循環が生まれている。
とはいえ、終わりよければすべてよしですからね。最初からねじれてしまっている設定のドラマをどう気持ちよく治めるかというところで楽しみにしたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)