■今回はミステリー好きの人が書いたようです

 今回の犯人役はプロフィギュアスケーターの村上佳菜子さん。かつては“氷上のジャンヌ・ダルク”と呼ばれた優秀な選手で、現在は指導者として活動している皇真白という人物を演じています。

 事件は、皇が手塩にかけて育成してきた有望な男性選手がほかの女性コーチにそそのかされて皇のもとを離れることになり、その選手がダメになる姿を見たくないという理由で女性コーチを殺害したというもの。

 皇に利用されて目撃者に仕立て上げられた黒羽ミコ(篠原涼子)と捜査一課の森野(バカリズム)が冴えた推理で事件を解決するのはいつも通りです。

 まずトップアスリートの村上さんをツモってきた時点で楽しいですし、脚本における殺害の動機にもスケーターとしての美学が乗っていて納得感がありました。リンクの氷に証拠品を埋めるというトリックも「ならでは」だし、ミステリーのエピローグとして村上さんのホンモノのフィギュア演技をたっぷり見せるというサービスもいい。

 前回、作ってる側がミステリー好きじゃないんだろうなと書きましたが、今回はすごくミステリー好きな人が作った感じがしました。脚本は森ハヤシさん。第3話の議員秘書の回と同じですね。議員秘書の回も、情緒があって謎解きとしてはとってもよかったと書いてます。

『イップス』は事件の仕掛けの出来にけっこう個体差があるんですが、出来のいい回がメインのオークラさんじゃなくて森さんの回なんですよねえ。それがなんとも。