プレ更年期や更年期にはさまざまな不調が起こりますが、そのひとつが「腰痛」です。そこで今回は、更年期腰痛が起こる理由や、病院の受診が必要な症状、そして簡単に行える対策法を紹介します。

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更年期腰痛の起こるメカニズム

更年期は女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急減し、自律神経が乱れやすくなります。エストロゲンは血液循環にも深く関わっていて、血流の滞りは老廃物をたまりやすくし、更年期腰痛の原因になるのです。

また、更年期腰痛は日頃の運動不足が原因になることも。女性はもともと男性よりも筋肉量が少ないうえに、加齢による筋肉低下も相まって、更年期腰痛が起こりやすくなります。

ただし、神経障害、内臓疾患、脊椎の病気などによる腰痛は更年期由来ではありません。こういった腰痛はセルフケアでは対処できないので、病院を受診することをおすすめします。一時的な痛みで収まらず、慢性的な腰痛(目安は痛みが3か月以上続くこと)を感じる場合は、まずは整形外科で診てもらいましょう。

更年期腰痛を軽減する簡単対策

今日から自分で実践できる更年期腰痛の簡単対策を3つ紹介します。

・ストレッチ

腰、背中、お尻の筋肉に一挙にアプローチできるストレッチ法を紹介します。腰周りの引き締め効果も期待できます

(1)仰向けに寝て左ひざを立てる

(2)腰をひねりながら立てた左ひざを内側に倒して右手で左ひざを軽く押さえ、左腕を真横に伸ばし、顔を左腕の方に向けてゆっくり呼吸しながら20秒間キープする

反対側も同様に行います。なお、期待する効果をきちんと得るためには「手でひざをしっかり押さえること」がポイントです。

・ツボ押し

更年期腰痛にはツボ押しもおすすめ。下記2つのツボ押しを実践してみましょう。

腎兪(じんゆ)…ウエストラインの背骨から左右に指2本分外側に離れた場所にあります。腎臓のはたらきを高めるツボで、腰痛を始め、全身の疲れにも効果が期待できます

腰腿点(ようたいてん)…手の甲にあり、人差し指と中指、薬指と小指の骨の交わるつけ根にあります。ぎっくり腰や生理痛などの緩和に効果を期待できます

なお、ツボ押しする時は強く押したり爪を立てたりせず、親指の腹で優しく、ゆっくりと長めに押すのがポイントです。

・漢方薬

更年期腰痛の緩和には漢方薬もおすすめ。自然の植物・鉱物などの生薬から作られている漢方薬は、一般的に西洋薬と比べ副作用が少ないとされています。加えて、医療分野でも利用されており、安全性も認められています。腰痛の症状には、「血流をよくして痛みやしびれを緩和する」「からだを温めて筋肉をゆるめる」「加齢による体力の衰えを補い痛みを和らげる」といった漢方薬を使用しましょう。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)…からだを温めるとともに水分代謝をよくして、足腰の痛みやしびれを緩和します。下半身の冷えやむくみにも使用されます

疎経活血湯(そけいかっけつとう)…滞った血液の流れを整えつつ不足した栄養を補うことで、冷えている部分を温めたり、過剰な水分を取り除いたりして、腰痛や関節痛、神経痛を緩和します

なお、漢方薬はからだとの相性も重要です。医師や薬剤師に体質を見極めてもらったうえで、適切な漢方薬を提案してもらいましょう。

プレ更年期や更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌量が急激に減り、からだにさまざまな不調があらわれます。腰痛もそのひとつですが、更年期由来の腰痛は、セルフケアなどを駆使すれば緩和を期待できるので、ぜひ今回紹介した内容を参考に上手にセルフケアしていきましょうね。<text:薬剤師・中田 早苗(あんしん漢方)>

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