病気があっても通常の保険に加入できる場合がある

ここまで限定告知型医療保険についてみてきたが、過去に入院や手術をしたことがあったり持病があったりしても、“通常”の医療保険に加入できる場合もある。その際には、病気の種類や治療状況、完治後の経過期間などをよく見極めることが重要になってくる。

保険会社は「病気の人を引受けたくない」のではなく、「保険金給付のリスクが高い人を引受けたくない」にすぎない。そのため、病気であったとしてもそれが入院・手術のリスクを伴わないものであったり、病気が完治して一定期間が経過していたりする場合は、健康な人と保険金給付のリスクが同程度であると判断され、通常の医療保険に無条件で加入できることがあるのだ。

条件付きで通常の医療保険に加入できる場合もある

健康状態に問題があり無条件での医療保険加入が難しい場合でも、「特定部位不担保」という条件を付けて保険に加入できるケースがある。部位不担保とは、体の一部分を保障の対象から外す方法のことをいう。

例えば、半年前に肺気胸で入院し、現在は完治しているとする。この場合、「肺疾患につき5年間」という特定部位不担保条件を付けることで、通常の医療保険に加入できることがあるのだ。この条件が付くと責任開始日から5年間は肺疾患で入院しても保険金給付対象外となるが、他の部位の疾患やケガによる入院については、問題なく保障される。

告知なしで加入できる終身保険もある

死亡時に備えた終身保険の中には、告知なしで加入できるものある。「無選択型終身保険」と呼ばれる商品だ。これは、医師の診査や告知をすることなく無条件に加入できる終身保険で、持病があろうと、過去に大手術を受けていようと、現在がんの治療中であろうと、引受不可になることはない。

ただし、加入後一定期間内に死亡した場合は払込保険料相当額の給付しか受けられなかったり、通常の終身保険に比べて保険料が割高に設定されていたりと、いくつかのデメリットも存在する。

そのため、健康状態に不安がある人が終身保険を検討する際はまず、通常の終身保険に加入できないかどうか調べてみることをおすすめする。

特別条件付きで終身保険に加入できることもある

終身保険も医療保険と同様、病気の種類や治療状況、全治後経過期間などによっては、病歴・入院歴・手術歴があっても無条件で加入できる場合がある。また、無条件での加入が難しい人も、以下のような特別条件を付けることで通常の終身保険に加入できる可能性がある。

割増保険料を払うことで通常の保障を受ける

そもそも、健康状態に問題がある人が保険に加入できないのは、先述したとおり、健康状態に問題がない人と同条件での保険加入を認めてしまうと契約者間の公平性が担保できなくなることに基づく。そうすると、個々が抱えるリスクに見合った保険料を支払いさえすれば、この問題は解決するはずである。

そこで導入されているのが、「割増保険料」という特別条件なのだ。保険会社は、被保険者の健康状態に問題がある場合でも、割増保険料という特別条件を付けたうえで、契約を引受けることがある。

保険金の削減を条件に通常の終身保険に加入

割増保険料のほかに、「保険金の削減」という特別条件が付けられることもある。これは、責任開始日から一定期間内に死亡した場合に給付保険金が減額される制度だ。例えば、保険金額1000万円の終身保険に削減期間2年(1年目は3割・2年目は6割)という条件で加入した場合、2年目に死亡すると600万円の給付金が支給される。傷病別の削減期間は保険会社によって異なるが、5年を超えることはない。