ソニー生命が2019年に実施した男子中学生の将来なりたい職業ランキングで堂々の1位となったのは、「YouTuberなど動画投稿者」。前回調査(2017年)の第3位から一躍トップとなりました。実際に、YouTubeに動画をアップしたというニュースはさまざまな分野から流れてきます。では、YouTuberの人たちのフォロワー数や動画再生数に応じた広告収入はどれくらいなのでしょうか。
日本のYouTubeアカウント売り上げランキング
まずは実際に、どんなYouTuberがいくらくらい稼いでいるのかチェックしていきましょう。
面白ネタ系、キッズ向け、ゲーム実況系、ペット系などコンテンツによってさまざまな分野に分類できますが、ここではまず全体を通じて、最もYouTubeの広告収益を得ているYouTuberトップ5を紹介しましょう。
*広告収益の計算は、1回の再生で0.1円の収益があるとして、その総額を各YouTuberの登録年数で割って計算しています(2020年7月時点、キャリアピックス調べ)。
1位:ヒカキン(約1億4,560万)
2位:フィッシャーズ(約1億4,340万円)
3位:はじめしゃちょー(約1億2,070万円)
4位:東海オンエア(約1億2,048万円)
5位:ボンボンTV(約7,400万円)
*()内は推定平均年収として
ここに挙げたのは推定の広告収益のみですが、これにテレビ出演料なども追加されるので、YouTuberで活躍できれば本当の“大金持ち”になれると言っていいかもしれませんね。
YouTuberのビジネスモデル
このトップ5を頂点と認識した上で、自らがYouTuberを目指そうという場合、どのような戦略を立てるべきでしょうか。まずは、前提となるYouTubeの収益モデルを掘り下げてみましょう。
動画再生数×広告単価
収益の計算方法を最も単純化すると、「動画再生数×グーグルアドセンスの広告単価」となります。より多く動画が再生されるのはもちろんですが、1回の再生あたりに発生する広告単価も上げていきたいところです。
フォロワー−1,000人以上、年間再生数4,000時間以上
YouTubeに広告を入れるためには、YouTube パートナー プログラムに申し込む必要があり、参加を認められるためにはいくつかの条件が設定されています。ガイドラインを遵守するほか、過去12ヵ月間の総視聴時間が4,000時間以上、チャンネル登録者数が1,000人以上となっています(2020年9月時点)。つまり、YouTuberとして一定の配信実績をつくらなければ広告収入を得ることはできません。
広告単価の動向
インフルエンサーをマネジメントする株式会社UUUMに所属するYouTuberの平均広告単価は、1再生あたり0.26~0.3円と言われ、単価は個人やコンテンツ分野によって異なります。
一方で、一般のYouTuberは0.05~0.1円と言われています。つまり、10万回再生されたとしても収益は5,000円から1万円程度にしかなりません。
売り上げを公開しているYouTuberを見てみると、フォロワーが1万人に達している人で、ようやく一般企業の初任給くらいの売り上げとなっているという印象です。
グーグルの広告売り上げは上がっている?
電通が2020年3月に発表した「2019年 日本の広告費」によると、日本でインターネット広告費がテレビ広告費を超え、2兆円をオーバーする結果となりました。
インターネット広告を主な収益源としているグーグルにとっては、よい流れと言えるでしょう。では実際に、YouTube事業を展開するグーグルの売り上げはどのような状況でしょうか。
報道によれば、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、グーグル全体の売り上げはここにきて頭打ちの状況です。しかし、YouTubeに限ると、2019年通期における売上高が過去2年で倍増した流れが現在です。
2020年6月30日締めの第2四半期決算では、広告売上高全体が前年を8%も下回ったにも関わらず、YouTube単体では38億1,200万ドルとなり、前年同期の36億300万ドルよりも5%以上の増収と言われています。
YouTuberの影響力の大きさが認知されるようになり、企業タイアップによる動画コンテンツも増えています。YouTuberが収益面を考えるとき、企業タイアップという広告需要も1つの大きな選択肢になってきます。