◆坂口憲二の人生をなぞる役柄

 真平は重い病気を抱えているのだ。現実を直視しないようにするため、彼は周囲に不安を気取られないよう振る舞う。むしろ周りを幸せにすることだけを考え、孤独な女性を癒そうとする“天使”なる活動まで。

 いつ自分がいなくなるかわからない。真平が日夜抱える不安と彼のライフスタイルが、まるでそのままその後の坂口憲二の人生をなぞるかのような役柄だったように思う。実際、坂口が自らの身体に違和感を持ち始めたのが同作撮影の頃だという。

 だから筆者は、今回の坂口復帰でほんとうにあのドラマ内から天使のごとく真平が舞い降りた、あるいは再降臨したのではないかと本気で錯覚してしまったのだ。