◆散々な初旅行の、悲惨すぎる結末

ホテルへ戻るも重い空気のまま
 それからその晩、音夢さんは寝付くことはできませんでした。

「考えれば考えるほど、彼とは一緒に過ごすことはできないという思いが強くなっていきました。冷静になれって自分に言い聞かせていたのですが、無理でした」

 翌朝、音夢さんはどうしても彼と一緒には過ごすことはできなくなり、富良野駅から一人で新千歳に向かい飛行機で東京に帰りました。

「まだ正式には別れていないですが、きっと別れることになると思います」

 当て逃げ被害に遭ってしまったことも災難ですが、それ以上の災難が音夢さんに降りかかりました。災難というのは続くときは続くものです。ゆっくりと休養を取って、心の傷を癒やしてください。決断はそれからでも遅くはありません。

―シリーズ「春のトホホ」―

<文/大杉沙樹>

【大杉沙樹】

わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。